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19歳で出来ちゃった結婚をし、夫の暴力と姑からのいじめに遭い、自分と駿の命を守るため、裁判をしてなんとか21歳の時に離婚した。
それから女手ひとつで幼い息子を育ててきたが、頼れる身内もなく、自信と希望もなく、自分の殻に閉じこもって現実逃避していた。
自分は病んでいた。
そのことに気づけないほどに。
でも、これからは駿がどんどん外の世界に出ていくのだから、自分は駿に恥じない母親でありたい。駿が褒めてくれるような「可愛いお母さん」でいたい。
何より駿が明日香のせいで笑われることがないようにしたかった。
それからの明日香は根が真面目で一生懸命な性格なこともあり、美容にも健康にも一途に取り組むようになった。
そして今、明日香は同年代のママたちよりもずっと若々しく、自信に満ち溢れて輝いていた。
それは息子のたったひと言の魔法のおかげなのだ。
「今日いたたくさんのお母さんたちの中で、うちのお母さんが1番可愛いかった」
駿がそう言ってくれるならそうなのだ。
明日香は今、心からそう思えることを幸せに感じた。
何より明日香には美のプロが3人もついているのだから無敵に決まっている。
今日のこの衣装だって、この日のために紫織と尋海と希和と何軒も店をまわり、試着を重ね、スカート丈の1ミリにもこだわって明日香が1番輝けるようにプロデュースしてもらったのだから。
「とにかく純白で清楚でパールでちょい甘」
そのテーマがばっちりハマり、参列者の男性たちの多くが明日香に目を奪われ、見惚れすぎて妻から睨まれていた。
今朝、明日香をひと目見て万里は目を見張って言った。
「明日香さん、もの凄く綺麗!」
嬉しそうに飛びついてきた万里を見て、明日香は柔らかく微笑んだ。
「ありがとう。万里ちゃんもすごく可愛い。食べちゃいたいくらい」
万里のもちもちほっぺを指でむにむにするのが明日香の癖だ。
駿はふたりが触れ合う様子を見るのが大好きだ。
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