第1話

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 一言で表せば、まさに豪華絢爛。天井から吊るされたシャンデリアはきらきらときらめいている。並べられた軽食はとても美味しそうなものばかりであり、食欲をそそる。給仕が注ぐワインのラベルは古いものであり、なんでもこの伯爵家の当主のコレクションの一つらしい。  この伯爵家の現当主がワインを集めているということは、社交界では有名な話だ。そして、それを自慢がてら夜会の場で振る舞うのも、いたっていつも通りのこと。  一流の楽団が奏でる音楽は聴いていてとても心地が良い。心が安らかになるというか、落ち着く音楽だ。  そう思いつつ、シュッティ伯爵家の当主夫人フランチェスカ・シュッティは夫に肩を抱かれてきれいな笑みを浮かべていた。  緩くウェーブのかかった長い赤色の髪。ぱっちりとした赤い目は、まるで宝石のようだと称される。体型も女性が理想とするもの。完璧なまでに整ったその容姿は、まるで作り物のようにも見えてしまう。  それはきっと、フランチェスカの表情に覇気がないのも関係しているだろう。 「いつ見てもシュッティ伯爵夫人はとてもお美しいですな。……シュッティ伯爵と並ぶと、まさに美男美女。とてもお似合いだ」  同じ招待客の一人が、フランチェスカとその夫アルバーノを見てにこやかに声をかけてくる。  少しふくよかな彼は、王都から少し離れた場所に領地を持つ伯爵。人のよさそうな顔立ちに似合い、慈愛に満ちた人物だと社交界では囁かれている。 「えぇ、自慢の妻なのです。……とても美しくて、性格だって愛らしい。僕にはもったいないほどですよ」  アルバーノが少しはにかんでそう告げる。そのはにかみに、周囲の女性たちが感嘆のため息を零したのがわかった。
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