330人が本棚に入れています
本棚に追加
一言で表せば、まさに豪華絢爛。天井から吊るされたシャンデリアはきらきらときらめいている。並べられた軽食はとても美味しそうなものばかりであり、食欲をそそる。給仕が注ぐワインのラベルは古いものであり、なんでもこの伯爵家の当主のコレクションの一つらしい。
この伯爵家の現当主がワインを集めているということは、社交界では有名な話だ。そして、それを自慢がてら夜会の場で振る舞うのも、いたっていつも通りのこと。
一流の楽団が奏でる音楽は聴いていてとても心地が良い。心が安らかになるというか、落ち着く音楽だ。
そう思いつつ、シュッティ伯爵家の当主夫人フランチェスカ・シュッティは夫に肩を抱かれてきれいな笑みを浮かべていた。
緩くウェーブのかかった長い赤色の髪。ぱっちりとした赤い目は、まるで宝石のようだと称される。体型も女性が理想とするもの。完璧なまでに整ったその容姿は、まるで作り物のようにも見えてしまう。
それはきっと、フランチェスカの表情に覇気がないのも関係しているだろう。
「いつ見てもシュッティ伯爵夫人はとてもお美しいですな。……シュッティ伯爵と並ぶと、まさに美男美女。とてもお似合いだ」
同じ招待客の一人が、フランチェスカとその夫アルバーノを見てにこやかに声をかけてくる。
少しふくよかな彼は、王都から少し離れた場所に領地を持つ伯爵。人のよさそうな顔立ちに似合い、慈愛に満ちた人物だと社交界では囁かれている。
「えぇ、自慢の妻なのです。……とても美しくて、性格だって愛らしい。僕にはもったいないほどですよ」
アルバーノが少しはにかんでそう告げる。そのはにかみに、周囲の女性たちが感嘆のため息を零したのがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!