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フランチェスカは、バンキエーリ王国の貧乏貴族ランベルティ男爵家に生まれた。
ランベルティ男爵家は質素倹約をモットーとしていたものの、あまり豊かではない領地のために多額の援助をし続けた結果、ものの見事に貧乏になってしまったという歴史がある。
けれど、そんな先祖の行動をフランチェスカは責めようとは思わない。だって、貴族は領民のためにあるのだ。領民がいなければ、貴族が生きている意味なんてない。
が、さすがにこのままだと生活が成り立たない――となったとき、援助を申し出る代わりにフランチェスカに求婚してきたのが、夫アルバーノの両親だった。彼らは、息子の妻にフランチェスカを望んだ。
『僕はキミを好きになってしまった。どうか、妻になってほしい』
そんな言葉を投げかけられて、嬉しくない女性なんていないだろう。それに、アルバーノの両親が申し出る援助は魅力的で。フランチェスカは、一も二もなく頷いた。
多少なりとも男性が苦手ではあったものの、この際それくらいは我慢しようと思っていたのだ。
でも、それからが悪夢の始まりだった。
結婚してからわかったことだが、アルバーノには多数の愛人がいたのだ。それも、そのほとんどの女性を金で買ったという経歴つき。そして、なによりも全員が容姿の整ったそれはそれは美しい娘ばかりだった。
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