エイプリルフール同窓会

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 今夜は、僕、キンゾー、エリカの同窓会だ。僕たちは地方の小都市の出身で、五年前、高校を卒業すると関西にやって来た。三人とも自分の夢を実現させるためにだ。  キンゾーはミュージシャンを目指している。高校の学園祭や市の文化祭では、彼のギターの弾き語りは人気だった。今は、大阪の楽器店で働きながら、週末は路上ライブで歌っている。  エリカは俳優になるのが夢だ。高校の演劇部では主役の座を譲ったことがなかった。エリカが部長のとき、県の高校生演劇大会で優勝したこともあった。京都の美大に進学したけれど、中退してコンビニでアルバイトしながら、地元の小劇団で活動している。  そして撲。小説家になりたい。メジャーな文学賞は取ったことはないけれど、自分が住む地方限定の文学賞で、佳作を貰ったことがある。神戸のイベント会社で派遣社員として働きながら、メジャーな文学賞に投稿している。  撲たちは関西に出て来てから、一度も全員揃って会ったことが無かった。僕とキンゾー、僕とエリカというように、二人でなら会ったことがあるのに不思議なことだ。京都、神戸、大阪、と離れて暮らしているし、三人とも夢を目指して忙しいのが理由かもしれない。  いつのことかは覚えてないけど、年が変わってまだ寒いころ、キンゾーが、「俺たち関西に来て、一度も三人で会ったことなかったな。一度、皆で同窓会をやってみないか」と言ったことがあった。もちろん撲は賛成した。  その同窓会の日が今日だ。
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