139人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝
なかなか起き上がれない私のことを青さんが起こしてくれ、ノロノロとシャワーを浴びた私の身体にまた消毒や絆創膏をしてくれた青さんが作ってくれていた朝ご飯をピッカピカになっているリビングで食べ、私にお弁当まで持たせてくれて先に会社へ向かった青さん。
その顔は物凄く申し訳なさそうな顔をしていた。
清掃の仕事で青さんとエッチをしていると思い込み、なのにあんなにエッチをしまくってしまい大反省していたのだと分かる。
分かるけれど・・・。
「大反省しながらもめちゃくちゃスッキリした顔をしてて、顔も目もキラッキラだったんだけど・・・。」
笑いながら青さんの家の扉に鍵を差し込み、青さんの家の合鍵をいつものようにキーケースに仕舞っていく。
私のキーケースには鍵が4本。
1本目は小関の“家”、つまり加藤の“家”でもあるあの大きな大きな家の鍵。
2本目はお兄ちゃんが住んでいる一軒家の鍵。
そして3本目は小関の“家”のご主人様の奥様、いや・・・、”元“奥様と一美さんがご主人様との離婚後に住んでいたマンションの鍵。
どれも私にとって大切な鍵が仕舞われているキーケースに、4本目となる青さんの家の鍵も大切に仕舞った。
「いつまで持っていられるかな・・・。」
いつかこの鍵を返すその日まで、此処が私の帰る場所・・・。
「いつお兄ちゃんの暗示と洗脳が解けるのかな・・・。」
小さく笑いながらも泣きそうになりながら、エレベーターで地上に降りていく。
「その前に、青さんの会社を渡して貰わないと・・・。」
私は清掃員の加藤望。
譲社長からの任命により、青さんの弱みを握り青さんから会社を奪い取る為に此処に来た。
青さんと楽しく幸せに暮らす為ではない。
分かっている・・・・。
そんなことはちゃんと分かっているけれど・・・。
青さんから受け取った、お弁当箱が入っている袋をギュッとこの胸に抱いた。
「マヨラーのくせに料理まで上手なんですけど・・・。」
”お前、痩せただろ!!!
ちゃんと食え!!!!
せっかくの巨乳が萎んだら勿体ねーだろ!!!!“
朝言われた言葉を思い出し、自然と笑いながらマンションから足を踏み出した。
そしたら・・・
大変なことが起きた。
凄く凄く、もうめちゃくちゃ大変なことが起きた。
「どうしよう・・・。
昨日よりも綺麗・・・・。」
青い空の下、まだ少し残っている雪が朝日を浴びてキラキラと輝いている。
昨日よりも輝いて見える。
私の目には、そう見えてしまう・・・。
最初のコメントを投稿しよう!