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灰色の空の下で凍えるようだった白い世界は、こんなにもクリアな美しい世界になっていて・・・。
身体はズキズキと痛いしおマ◯コまでジンジンと痛いのに、この世界がこんなにも綺麗な世界に見える。
「私の青(あお)と星が綺麗すぎる・・・。
青さんと再会する前よりもずっと・・・。
青さんと再会してからよりもずっとずっと・・・。
私の所に青さんが戻ってきてくれてからの方が、こんなにも綺麗な世界になっちゃった・・・。」
乙女みたいな台詞を小さな声で呟いた自分には笑ってしまう。
ダッフルコートの上からおさえた”一平さんの第2ボタン“も、今日はいつもよりも温かい気までしてしまう。
身体の痛みもおマ◯コの痛みも、こんなにも幸せな痛みだと思ってしまう。
「昨日、青さんにめちゃくちゃ刻まれちゃった・・・。
こんなに痛かったら雪が溶けてても歩けないよ・・・。」
少しだけ涙を流した後、ゴシゴシと涙を拭ってから普通に歩き出した。
この美しい世界を。
私の青(あお)と星が広がる世界を。
自分の手でこの世界を壊すことになるけれど、それでも私は歩き出した。
「頑張れ・・・。」
自分で自分のことを励ましながら。
「頑張れ、私・・・・。」
この身体に痛いくらい刻まれた青さんへの“愛している”と、青さんからの“愛している”を感じながら・・・。
私は歩き続けた。
「私は加藤望・・・。
小関の“家”の秘書の“家”に生まれた・・・。」
だから歩ける。
だから歩かなければいけない。
この世界を壊すことになったとしても。
私の身体に流れている血が、私の心に刻まれている教えが、私のことを今日も歩かせる。
雪が降り続ける雪の上だろうと、雪が解けようといているツルツル滑る氷の上だろうと、私は歩いていく。
と、思ったけれど・・・
「やっば、遅刻・・・・・・・!!
・・・・・・・・・・・わっっっ!!!」
走り出してすぐ、普通に転んだ私はやっぱりまだまだ“ダメ秘書”だった。
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