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数分後 「・・・青さん、私におちんちん見せすぎじゃない?」 お風呂から出てきた青さんは首にタオルは掛かっていたけれどまた素っ裸。 「俺風呂上がりはしばらく素っ裸派。」 「私の存在めっちゃ無視するじゃん。」 やっぱり全然女として意識されていないことに安心し、でもそれと同じくらい悲しい気持ちにもなった。 そしたら・・・ 「一緒に住むからには俺は望のことを“ほぼ家族”だとみなしてるからな。」 青さんは意地悪な顔で私に笑い、素っ裸のままの姿で私に“何か”を渡してきた。 「鍵。」 「ありがとうございます・・・。」 それをゆっくりと受け取ると、お風呂上がりの青さんが持っていたからかとても温かかった。 「望が住んでた“あの家”は家族が集まる家でも何でもなく、どう見ても職場だったからな。 だから今日からこの家を望の家にもしてやるから。」 青さんがそんなことを言ってくれ、私に向かって人差し指を伸ばしてきて・・・ その人差し指が私の唇に少しだけ触れた。 それには更にドキッ──────...としながら青さんのことを見上げると、青さんがやっぱり意地悪な顔で笑い続けている。 「だから望も“ほぼ家族”の俺には何でも言っていいしどんな姿でも見せていいからな?」 青さんは凄く凄く意地悪な人でもあるけれど、やっぱり凄く凄く・・・凄く凄く凄く優しい人でもあって。 “可哀想なネコ”にはこんなにも優しくて。 青さんと初めて出会った瞬間も私の唇に人差し指を伸ばした青さんは、今日も私に人差し指で唇に触れてくれた。 「俺には何でも言えるだろ?」 この気持ちを青さんに伝えたことはないけれど、それ以外のことならほぼ青さんは知っている。 青さんと会えなくなってからも私は青さんに毎日“日記”のようなメッセージを送り続けているから。 青さんが大学生になってからはあまり返信が来なくなり、大学2年生になってからは1度も返信が来ることはなくなっていたけれど、私は毎日毎日送り続けてしまっていた。 “暇だったら返信する。” 青さんはそう言っていたから、私は青さんが暇になる時をずっと待っていた。 青さんにいつか暇が出来るその時まで、私はずっとずっと待っていた。 「泣くほど辛かったならあんな“家”なんて自分から出れば良かっただろ。」 私が泣いている理由がソレだと思っている青さんが怒った顔でそう言ってくるので、泣きながら首を横に振った。 “日記、迷惑でしたか?” それは聞かずに涙を両手で拭った。 “私が青さんのことを好きだと伝えたら、青さんのことを悩ませてしまいますよね?” 男子校で男の人から告白される度、青さんが毎回とても悩んでいた姿を私は何度も見ていた。 青さんは凄く凄く意地悪な人だけど、とても優しい人だから。 だから青さんは私からのメッセージに“迷惑だ”と言ってくることはなかった。 “もう送ってくるな”と言ってくることもなかった。 あんなに返事をくれなかったのに・・・。 あんなにずっと、返事をくれることはなかったのに・・・。 毎回既読には必ずなっていたから読んでくれているはずなのに、何も返事はなかった。 「私に“家”を・・・“ほぼ家族”をくれて、ありがとうございます・・・。」
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