二皿目

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それから少し歩く度に狼の魔物に襲われた。いつ死ぬかのギリギリの戦闘を繰り返した結果、相手の動きも比較的分かるようになり何とか戦えるようになった。 「はぁはぁ……」 初めは少しの物音だけでガタガタ震えていたものだが、今では落ち着いて対処できるようになっていた。 ただ如何せん、腹も減って体力は限界が近い上に度重なる戦闘で身体のあちこちに怪我もしていた。 このままでは、身体が動かなったところをガブリなんてこともあるかもしれない。 「少し休まないと。薬……なんてないよな。薬草とかないのか?」 といっても、薬草の知識などからっきしの頭だ。 スパイスの知識なら、人よりもあるかもしれないがそれ以外の草のなど見たところで区別もつかない。 『カレー馬鹿!』とまた女神の声が頭でリピートされるが、こればっかりは現状否定できないので苦笑するしかなかった。 重くなっていく身体を引きずり、一際大きな木の下にたどり着くとその根元に腰を下ろして一息ついた。 周りの何倍も大きい木だ。 もしかしたら、ここが〈 魔物の森 〉の中心部なのかもしれない。 だとしたら、俺は奥へ奥へと進んでいたことになる。 人のいるだろう場所に向かうにしても、また今来た道を進む他ないわけか。 前に進んでも狼。後ろに戻っても狼。 進退窮まった状態に、絶望を感じてため息を吐く。 その時、ふわっと鼻腔をほのかに甘い香りが通り抜けた気がした。 「ん?この甘い香り……くんくん……!ンンン!?この香りは!?知ってるぞ!」 俺は辺りを見回すとよく目を凝らして地面を探る。 匂いを辿り、ようやく見つけたのは木の影。 若々しい緑の美しい葉の上に、淡いピンクと白のグラデーションが美しい花を咲かせた植物があった。 「まさか……こんなところに自生してるなんて。おぉ!神様!ありがとう!あ、女神じゃないぞ」 可憐な花を手折ると、ヒノキノボウを使いながら根を傷つけないように丁寧に土を掘り返す。 「間違いない!〈 ターメリック 〉だ!」 そうして掘り返した太い根っこを取り出し俺は歓喜の声をあげた。
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