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カレーライス。それは日本人の国民食であり、日本人の魂とも呼べるものだ。
元々はインド料理を元にイギリスで誕生し、日本には明治時代にイギリスから伝わったものが日本で独自に変化・発展したものだ。
この食べ物を愛する日本人は多い。
もちろん、この俺、中山 大吉もその一人だ。
「ふふふ……!あと一晩……あと一晩で俺史上最高のカレーが完成だ!」
グツグツと鍋の中で煮えるカレーをゆっくりと、じっくりと弱火で煮込みながら俺は鼻歌まじりにかき混ぜる。
湯気に乗ってスパイスの香りが鼻腔を通り抜け、食欲を刺激する。
「スー……ハァあ゛ぁぁ~~!至福……!」
あぁ……なんて最高に贅沢な時間だろう。
この時ばかりはいつも煩わしく感じる空腹を知らせる腹の声も同じ気持ちなのだろうと嬉しく感じてしまう。
楽しみ……。
嗚呼、楽しみだ。
あと一晩。あと一晩寝かせれば、カレーに具材の旨みが馴染んでより深みが出てくる。
もうすぐ!〈 至高のカレーライス 〉を味わうことができるのだ!!
ぐぅ……。腹の虫も歓喜に喜んでおるよ。
ぐぅ……ぐぅ~……ぐぅ~~……。
「ちょっと、味見しちゃおうかな……。い、いやいや!まだだ!まだまだまだ!」
焦る気持ちを抑えるようにコンロの火を消して、すぐに氷水で鍋ごとさらして粗熱を取る。
熱が収まったことを確認して、冷蔵庫の中に入れると俺は一仕事終えたように冷蔵庫の前にへたり込んだ。
「耐えた……。耐えたぞ、俺……!凄いじゃないか!恐らく世界で指折りの苦行だった。きっと来世はカレーの国の住人に生まれ変われる気がする」
※ 大吉くんは空腹のせいでおかしな思考になっています。
兎にも角にも、腹の虫をなだめなくては夜も眠れない。明日も仕事で 早いのだと自分に言い聞かせて、明日の夜には訪れる幸福の時間を楽しみに軽く炙ったスルメと酒を煽ると布団へと潜り込むのだった。
楽しみだなぁ~……。
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