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つくばえって……慈愛の精神はどこに行ったよ。本当に高慢ちきなヤツだな……。
「突然現れた神様に下げる頭なんてないぞ?」
「だから!死んだ貴方の魂を転生させてあげるって言ってるの!ありがたがるのが、筋ってもんでしょ!」
「は、はは……急に何を言い出すかと思えば。死んだ?俺が?そんなわけ……」
「あるわよ。胸に手を当ててみなさい。心臓止まってるから」
女神は自身の胸と腕を指差し、確認しろと促してくる。何かの冗談だろうと胸に手を当てて、俺は驚愕した。
ほんとだ。心臓の音が止まってら。
「え?俺死んだ?なんで?」
「死因は心臓発作ね。忙しい日々で身体を酷使した結果でしょ。まぁ、よくある話しよ」
「そんな予兆なかったのに……」
「予兆はなくても起こるのが天命というものよ。そればかりは諦めてちょうだいね」
「そんな、嘘だろ……」
がっくりと項垂れる俺に、女神はようやく話ができると感じたのか胸を撫で下ろす。そのまま、仁王立ちをやめると椅子に腰を下ろして足を組んだ。
「はぁ……やっと落ち着いて話ができるわね。こんな騒がしい人間は初めてよ。これも強い魂の影響かしら」
「なんで俺が呼ばれたんだ?」
「あなたの魂に凄まじいエネルギーを感じたの。それこそ、英雄や勇者になれる素質があるほどに強いエネルギーよ」
「俺みたいなヤツで、英雄やら勇者って。こんなヤツごまんといるだろ?」
「いるわよ?でも、ちょうどいいのが目の前にいたら誰だって手に取るでしょ?寿命もあと二三日くらいあったけど、そんな変わらないからさっさと寿命を早めて手元に連れてきたわけ。その分、転生先の身体はより丈夫になるからいいでしょ?やだー!私って頭いいわねー!」
「…………は?」
さらりと語られた理由の中に聞き捨てならないセリフを聞いた俺は、自分の采配に浮かれる女神を見る。
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