プロローグ

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この女はなんて言った? 『寿命もあと二三日くらいあったけど……』 つまりあと二三日は生きられたってことか? 『そんなに変わらないからさっさと寿命を早めて手元に……』 この女が俺の残りの寿命を刈り取ったってことか? でもなんで、よりによってこの日に……。 いや待て。何かきっとそこまでする理由があるはずだ。 「おい、女神」 「ん?なーに?ていうか、女神“様”って呼びなさいよ。いつまでも無礼なヤツね」 「お前、俺を予定より早く連れてきたんだよな」 「えぇ、そうよ?」 「それだけ、急を要する状態だったってことか?飛ばされる世界は人類が魔族に滅ぼされる一歩手前とかそんな状態ってことか?」 「いいえ?まだ三年くらいは余裕があるわよ。だから、じっくりと力を高めて世界を救ってちょうだい?」 「三年……だと?」 「あら心配なの?大丈夫よ。必死にやれば一年もかからず勇者になれるわ。そのために私自らサポートしてあげるし」 明るく笑う女神の顔面に一発食らわせてやりたい衝動を必死に抑え込み、交渉を試みる。まだ、きっとまだ何か方法はあるはずだ。
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