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静かに瞳を開くと、辺りが眩しかった。
まるで、この部屋に存在する光が全て私の瞳に集中したほどに眩しかった。
ここは天国?
しかし辺りを見回すと、そこは天国というよりかは私にとっては地獄のような場所であったことを思い出し、まだ生きてることを自覚する。
私はてっきり死んだのだと思っていた。
理絃に首を絞められ、意識を失い、そのまま死んだはずだった。
死ねたはずだった。
兄達はどこに行ったのだろうか。
辺りを見回すが、兄達の姿はどこにもなく、代わりに先程の惨劇だけが見にくく描写されていた。
なんだか、舞台役者になった夢を見ていた気がする。
だけど、夢の内容は何も覚えていなかった。
立ち上がると、少しの目眩が私を襲い、壁に手を着く。
大きく息を吸い込み深呼吸をした。
長い時間息を停められていたからか、肺がその酸素の量に対応しきれず、少しだけ咳き込んでしまう。
胸が暑い。
殴られた時とはまた違う痛み、内側から傷んでるようだ。
私は、これからどうすればいいのだろうか。
私じゃ兄達は殺せない。
この問題を、私はどうすればいいの?
兄達が生きている限り、私は幸せにはなれない。
「もう、死のっかな」
逃げ道が微かに私の脳裏を過った。
それが正しい選択だなんて私には分からない。
だけど、1番楽な道だということは身に染みてわかる。
この現状から逃げ出したい。
もう殴られたくない、彰人大雅の性器も咥えたくない。
お母さんの苦しむ姿を見たくない。
「逃げたい……助けてよ、神様」
微かに涙を零し、天を仰ぐようにして願いを放った。
だけど、その願いは誰にも届かず、無惨にも消え去ってしまった。
指名とか責任とか、役割とか、全てがどうでもいいような気がした。
私は、コンビニ袋の中からカロリーメイトを取りだし、そのままソファーに飛び込む。
柔らかな床が、私を丸め込んだ。
カロリーメイトの袋を空け、それを寝転んだ状態で食べる。
味は無かった。
ソファーで寝転んでいると、飼い猫である”ここ”が、お腹の上に乗ってきた。
かわいい。
猫種はラグドール、白くもふもふの毛と、青に眼が可愛い。
私は、ここのお腹に埋もれ、そのままここを吸う。
ここを吸うだけで、幸せな気持ちになれる。
薬物なのかもしれない。
ここの頭を撫でるとここはゴロゴロと音を鳴らし、こちらへ甘えてくる。
数分、ここを撫でていると、ゴロゴロとは鳴らなくなっていき、代わりに寝息を立てていた。
そのまま私も、気がついた頃には寝てしまっていた。
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