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『優希』
2024年2月24日土曜日2時。
綾香が寝て、30分ほど経った。
おれも少しウトウトしてきたなぁ。
綾香は寝たし、おれも寝るか。
そう思い目を瞑る。
目を瞑った瞬間、綾香がいなくなる。
目を開け、状況を確認すると、綾香が立っていた。
目も半開きにして、フラフラと立っていた。
少し、身体を起こし
「綾香?どうしたの?」
と声をかけるが返答がない。
夢遊病か?
そう思っていると、突如綾香はおれの顔を蹴る。
鼻にあたり、普通に痛かった。
まぁお母さんに比べれば随分マシだけど。
だからか、痛みによる衝撃よりも、精神的な衝撃の方が大きかった。
だって、愛されていると思っていた相手に急に蹴られたのだから。
暴力という行為は本来愛の無いやつにする行為じゃないのか。
綾香もやっぱり、見かけの愛だったのか。
少し涙が零れそうになったが、人前で泣いてはいけないと昔お母さんに教育されたことを思い出し涙を我慢する。
綾香がおれを踏みつぶそうとした。
おれは綾香の足を抑え、立ち上がり、そのまま壁ドンのように綾香を壁におさえつける。
「綾香!どうしたんだよ!いきなり!せめて、理由を話してくれ……」
しかし、綾香の返事はなかった。
というより、意識がないように見えた。
無意識。
やっぱり夢遊病なのか?
たしか、重度の夢遊病患者は暴力的なる場合があるとどこかで聞いた気もしてきた。
とりあえず、綾香の暴力がわざとじゃないことにおれは至極安心した。
そのまま、ハグをするかのように綾香を丸め込む。
すると、綾香は気を失ったかのように足を崩し、そのまま床で寝てしまった。
少し心配だけど、まぁ収まってよかった。
おれは、少し綾香を警戒しつつ、心配しつつ、見守っていた。
数十分経っても違和感が感じられなかったため、おれも寝ようと思い、絢香の横に寝転ぶ。
コタツに入りたい気持ちも少々あったが、こっちの方が落ち着く。
次ぐに眠りに落ちた。
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