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「そ〜いえば綾香、なんで優希のこと好きになったの?」
ハグを少しづつ解きながら、菜々美にいきなりそんなことを言われる。
私は少し恥じらいつつも、菜々美の質問に答えた。
「ん〜、なんでって、言われたらちょっと難しいけど、好きなところならいっぱいあるよ? 」
私の答えに対し、菜々美はウキウキの表情と声色で
「えー!優希のどこが好きなのよ〜」
と目を輝かせテンションを上げていた。
「ちょっと恥ずかしいかも」
と私は菜々美の質問をかわそうとしたが、菜々美は容赦なく
「どこが好きなのか教えろよ〜」
と攻撃を続ける。
ほんとに無邪気で元気な人だなぁと思いながら、私はしょうがなくその質問に答える。
「1番好きなところは匂いだけど……」
顔を赤面させ、目線を逸らしそう言う。
私はきっと匂いフェチなのだ。
優希からは本当に良い香りがする。
嗅ぐ度に凄く興奮してしまう。
あぁ、私って気持ち悪いなぁ。
そんなことを思っていると、菜々美は
「恥ずかしがらずにもっと教えてよぉ〜!」
と私の肩を揺する。
「わかったよ!わかったからとりあえず私を振り回さないで」
私は笑いながら菜々美に交渉を持ちかけた。
菜々美は
「んじゃ教えてね」
と笑いながら私の肩を話してくれる。
「私、髪の毛長い男の子が好きだから、優希のウルフも好きだし、痩せてる不健康そうな男の子もタイプだから、優希のガリガリな身体も、不健康そうな目の下の隈も、背の高い所も、全部大好きだよ」
恥ずかしかったけど、私は優希の好きなところを言いきった。
自分の性癖を全て暴露したような気分になってしまい、心底恥ずかしかった。
菜々美は私に
「性癖歪んでるね」
と笑いながらツッコんだ。
私はそれに対し
「別にいいでしょ!」
と笑いながら反抗する。
「そ〜いえば、優希の事いつ好きになったの?」
そ〜いえば言ったこと無かったなぁと思い、いつ頃好きになったか思い出そうとするが、正確に思い出すことも出来ず、恥ずかしさもあって隠すことにした。
「あんまり覚えてないや。気がついたら好きになっていたみたいな。だけど、きっかけは多分優希の匂いだったと思う。」
「やっぱり綾香は匂いフェチだなぁ」
と菜々美に核心をつかれてしまい、私は
「そ、そそんなことないよぉ」
とテンパりながら噛み噛みの返事をした。
菜々美は
「冗談だよぉ」
と笑っていたが、実際匂いフェチは事実だ。
「っていうか、優希と初めて会ったのって高校二年生へ上がる時のクラス替え?今クラス一緒だしね」
菜々美が急に話を展開してきたので、私は少し返事が遅れてしまう。
「初めて会ったのは高二じゃないかな〜。けど、初めて喋ったのは高二やった気がする。高一の時も遠くから『タイプだなぁ』って思いながら見てたよ」
私は優希の可愛らしい仕草や顔を思い出し、「うへへ」と少し気持ち悪い笑い方をしてしまう。
「え、ストーカーじゃん!」
菜々美にそうツッコまれてしまい私は
「失礼だなぁ。学校だしストーカー判定ではありませんー!」
私は頬を膨らませ、菜々美に抗議する。
「まぁ今はストーカーから友達へと昇進できたしね」
「だからストーカーじゃないって!」
私たちはそんなやり取りをしながら笑いあっていた。
「ごめんごめん。それで、優希とは結構仲良くしてるの?」
「んーービミョーかな。たまに休み時間話すぐらい。なかなかアタック出来ないんだよね〜。でも!LINEでは仲良くできてるの!!!前なんか寝落ち通話しちゃって、優希の寝息可愛かったな」
またしても私はうへへと少し気持ち悪い笑い方をしてしまう。
「え!そんなに発展してるの!んじゃもういっその事デートに誘っちゃえば??」
菜々美が興奮したように立ち上がり、私を見下しながらそんな提案をいきなりした。
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