第一章【誘い】

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「そ、そんなことできないよぉ」 私は今でも襲ってきそうな菜々美を見上げながら、手を横に振り否定する。 「いま!いまデートに誘おうよ!」 そう言い、菜々美は私に飛びかかってき、そのまま膝の上に乗っかった。 「今!?まだ、、心の準備が……」 私が目も(そむ)ける。 菜々美はそんなことお構い無しに 「一旦作戦会議!絶対今日誘うの!いけるよ!綾香なら絶対いける」 とものすごく興奮している様子だった。 この勢いで止めることは出来なそうだと、私は諦めてしまい、しょうがなく一旦作戦会議をする事にした。 「で、でもさ、第1に何に誘えばいいんだろう」 私は異性との経験が(とぼ)しいため、まずまずどこに誘えばいいかも検討が付かなかった。 「んーー無難に遊園地とかは?」 異性関係が結構ある菜々美はそれっぽいアドバイスをくれた。 だけど私は、 「そんなお金ないよ」 と菜々美に意見を否定してしまう。 「んじゃ、お 家 デ ー ト」 まるで、言葉の語尾にハートが着いたかのようにいやらしい口調で言葉を放つ。 「バカじゃないの。初デートでそれは距離の詰め方バグってるよ!」 私は少し戸惑いつつも冷静に菜々美のボケなのかもよく分からない冗談にツッコむ。 「確かに。んーー他に無難なところをいったら映画とかはどーなの?」 菜々美がまたしてもそれっぽい提案をしてくれた。 「あ!映画!前優希が見たい映画あるって言ってたような」 前、通話した時に優希が 「最近流行ってるこの映画おもしろそー!」 と言っていたのを思い出す。 しかも、映画に行くだけならそこまでお金は使わない。 私の所持金でもギリギリ足りる。 私は心の中で 菜々美、天才 と賞賛していた。
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