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四月の暮れ。去年と同じように瑠璃お兄ちゃんが伊織先生からの招待状を持ってきた。
「翡翠、無理して行かなくていいんだからな?」
「うん。今年は行かないから」
「え?」
瑠璃お兄ちゃんの顔にはショックなのがありありと表れていた。
「どうして?」
まるで絶望している瑠璃お兄ちゃんの顔。無理する必要なかったんじゃないの?
「行きつけのコンビニでゴールデンウィークに美味しそうなフラッペ出るから。温泉宿の近くに同じコンビニないんだもん。ストロベリーホワイトチョコレートフラッペなんだよ?」
「そんな!? ホワイトチョコレートはロリ化するんだぞ? 翡翠の女体化はもともとロリなんだぞ!? それ以上ロリになってどうするんだ!?」
瑠璃お兄ちゃんは何を言っているんだろう? 僕にはさっぱり理解できない。
「はいはい瑠璃、ちょっと落ち着こうか?」
珍しくお父さんが瑠璃お兄ちゃんをなだめてる。
「瑠璃、いいか? 翡翠が行かないということは我々も無理して行く必要はないということだ。翡翠が女体化はじめるまで九年、我々も行ってなかったからな。……ただロリ女体化した翡翠をお父さんは見てみたい!」
なんか話がまた元に戻った。ロリ女体化って何なのさ?
「あなた、瑠璃、これ以上翡翠に変な話するんなら夕飯は石を食べさせるわよ?」
お母さんがにっこりと微笑むリビング。お父さんと瑠璃お兄ちゃんが怖い! と抱き着く横でうた先生が麦茶を飲んでいた。
「そっかぁ。今年は翡翠くん来ないのかなぁ。ってことはにょんたんずみんな来ないの?」
「はい。にょんたんずでフラッペ買いに行く約束してるから。新作のフラッペ、発売日に買わないとすぐなくなっちゃうんだもん」
「なるほどなるほど。まぁ翡翠くんたちに伊織先生の魔手が伸びないだけで私は安心かな? 毎年トラップ考えるのも大変だから」
トラップ考えなきゃならない慰安旅行とか大変そうだ。でも僕らのために考えてくれてるんだから口にはしないけど。
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