私はアイドル

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だから、これで良かったんだ。人に誇れる夢も 無ければ、心を通わせる友人も居ない。今の私の 人生は、性に合っている。 「…お姉さん?」 固まったままうつむく私に、リポーターが困惑した顔で聞き返す。数ある人の中から私一人を 選んでくれたのに、無駄な時間を与えてしま った。 「私にとってアイドルは、誰とも被らない個性で人々を魅了する素敵なお仕事です。そして… 私から一番遠くて、なりたくてもなれなかった 存在です。」 記憶の彼方に封じ込めていた思いを、素直な言葉と共に絞り出した途端また我慢していた涙が 溢れて止まらなくなった。 こういう時、今までの私ならどうやって止めてた っけ。
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