私はアイドル

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ライブが始まる十分前、商店街にある特設 ステージには既に十数人程度の団扇などを持ったファンが駆け付けていた。 中には先程のチラシを手に持っている人や、通りすがりの買い物客も居る。  司会者を勤めるタレントが前座を終えると、 いよいよグループ名のアナウンスと共に五人の 女性が現れた。  黄、青、赤、紫。イメージカラーの衣装に 身を包んだ彼女らの登場に、観客がパラパラと 拍手で出迎える。一人一人の顔を眺めた私は、 真ん中を勤める赤の女性に目が釘付けになり手を止めた。 何で私が、ステージに…? と思う程、自分そっくりな女性がアイドルとして ステージに立っている。 肩にかかる紙の長さ、鼻の高さ、目の大きさ、背丈の高さ、声や仕草の癖まで全てが自分に瓜二つなのだ。
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