美優の場合

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美優の場合

猫さん3日連続ですみません…あたしはまだ大丈夫だと思ってたんですけど… 昨日までと正反対に、あたしは今湯槽に頭を突き出した状態で、猫さんにシャンプーしてもらっているのだ 「カフェ美宙の看板娘の髪を伸ばしっぱなしにするわけには行きませんからねえ」 タオル越しだけど、猫さんが笑いながらなのが伝わって来る… 触らせてもらえない秋さん以外の皆さんからは、あたしのシャンプーと頭皮マッサージはゴッドハンドと褒めてもらえているけど…猫さんはその上だ! 正直なところ、さっきから気持ち良すぎて睡魔に襲われてる…睡眠は足りすぎてるはずなのに… あ、それと襲われるのなら睡魔じゃなくて猫さんの方が…まあ叶わない夢かもだけど 「でも、良かったんですか?」 あたしを気遣うような猫さんの声が… 腰くらいまであった髪をかろうじて背の中ほどに届くまでに、しかもパッツンにカットしてもらったらそうなるか 大丈夫です!これくらいの長さの方がアレンジもしやすいですし、寝癖も付きませんし! …後者の方がメインな理由…猫さんにだけはナイショだけど… 「まぁ少々短くなっても、ウチの看板娘が美少女な事には変わりありませんが」 …猫さんはサラリとこんな風に褒めてくれる… 心の準備が…いや、いつもだって出来てないんだけど!顔が赤くなるのが自分でもわかる! ただ…いつまで経っても「美少女」扱いなんですよね~、「美人」じゃなくて そりゃあ猫さんの周りには、秋さんや冴香さんって大人の美人がいるから? あたしだってもう四半世紀生きてるんだし?そろそろ大人のオンナに見てほしい…けど 優花さんとあたしは猫さんのお子さん達と年齢が変わらないから?仕方ないと言えば仕方ないんだろうけど これは…あたし達が家事全般、ゴミの分別も出来るようになれば、子供扱いされなくなるのかなー… 「はい美優ちゃん、あとは乾かすだけですよ?」 …どこまでゴッドハンドなんだ、猫さんは! あたしがあれやこれやと考えているウチに、ロングヘアから露も取られてて、背中に手を添えて身体をシャンプー台から起こしてくれている、それもさり気なく! ねぇ猫さん…あたしもいつか秋さんとか冴香さんみたいに大人のオンナになれるかな~? しまった!思っていたことがついつい口に出ちゃったよ! 「そうですね~」 あたしの想い人はこれまた絶妙な温度になるようにドライヤーを当てながら、癖のないサラサラのストレートを乾かしてくれている…時々あたしに触れる、その手の感触にドキドキしてしまう…こういうところなのかな〜、子供扱いされるの… 「秋ちゃんは目指さなくて良いと思いますが、冴香さんは目標にしても良い大人の女性かと。冴香さんは仕事以外だとちょっと抜けてるところはありますが、完璧な大和撫子!って感じじゃないですか〜?秋ちゃんは…ねぇ…あの性格だから…」 あ、成る程、猫さんもそう思ってたんだ… あたしもクスリと笑ってしまう 猫さんと二人っきりで過ごす、幸せな時間…これが永遠に続けば良いのに… 「「ほー?」」 と、あたし達以外の二人の声がお風呂場に谺 そこには微妙に引き攣った顔の秋さんと冴香さんのお二人のお姿が… ピシャッ 後ろ手でお風呂場で脱衣場を仕切る木の扉が、とんでもない勢いで閉められ… どうも猫さんとあたしはお姉さん方にお説教されそうな気配がビンビン伝わって来た…
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