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「次はあたしの番っす!美優ちゃんお願いするっす!」
ウチがついでにシャワーを浴び始めると同時に、お風呂の椅子にハルさんがちょんと腰掛けた
美優ちゃんがその素早さ可愛らしい仕草に笑いながら、防水布を被せている
「あ、あたしは髪の毛括るっすから、そんなに丁寧じゃなくて大丈夫っすよ!不備があればししょーにクレーム入れるだけっすから」
いやハルさん、カットしてくれたのパパじゃなくて美優ちゃんだし!
要するにハルさんも隙あらばパパの隣の座を狙ってるって事ね…
まあ今のウチへのシャンプーの手付きからはクレームのつけようがないだろうが
因みにパパ曰く、一番手がかかるのが秋さんと冴香さんで、次に優花ちゃん、ウチら三人はどっこいどっこいだそう…
秋さんはロングだからわかるけど、冴香さんと優花ちゃんが大変とは…意外だ
優花ちゃんはショートボブなんだけど、癖があるので慎重に慎重に外ハネにしやすいように、少しずつ確認しながらカットするのだとか
で、美優ちゃんも触らせてもらえないのが、秋さんと冴香さんの2トップで、冴香さんは肩よりちょい長めなボブなんだけど、優花ちゃん以上に癖が強いらしく…まあ、パパにしか対処しようがないと言うのが理由らしい…本当のところはどうなのかわかったモノじゃないけど、冴香さんなら…ついそう思ってしまう
問題なのは秋さんで、迷うことなくパパを指名してくるそうだ
単に甘えたい、独り占めしたいだけだろうが!…あ、そう思ってても口には出しません…ウチだってイイ大人なんですから、言って良い相手悪い相手の分別くらいはつくのだ…
しかしながらウチらと雑談しながらでも、ハルさんの髪を丁寧に洗っている美優ちゃんは大したものだなと
髪結いの亭主とは言うが髪結いの愛娘は…聞いたことがない!
「あ、ハルさん、そろそろコンディショナーが少ないので、オリヴィアさんのところからお取り寄せしておいてくださいねー?シイさんは一通り頼まないとですけど」
…美優ちゃんがその情報を何処から入手したのか、聞きたいんだけど…
シャワーノズルを手渡しながら尋ねると…
「あ、あたしに読めない横文字が書いてあるので、たぶんフィンランド語じゃないかなって…あれ?違いました?」
ち、違わん…その通りだけど…
内容はまあ、アレだが、返事は的確だな…
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