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エピローグ
如月奏は、ついに帰ってこなかった。
多くの人に鮮烈な印象を残して、消えてしまった。
明らかな偽物が現れたり、偽物なのかどうか真偽がつかないほどの者が現れたり、彼の同級生だったという者が嘘か本当なのかわからないような情報を流したり、彼はもう死んだのだという説と同じくらい、話題は浮かんでは消えていった。
結局のところ、如月奏のことは誰もよく知りはしなかったのだ。
残された動画の再生数はどれも億を超え、彼の曲と歌声だけは聴く者の中で生き続けていた。
あるときは勇気づけ、励まし、寄り添う。
それだけでも、彼の存在意義はあった。
彼を愛した者たちで形づくられる世界。それが本当に望んだ形だったのかは、もうわからない。
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