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「マテオ……マテオ」
泣き混じりに呼ぶ声をマテオの耳がとらえた。
はっとして息継ぎが乱れ、歌が止んだ。
恐ろしいほどの静寂が降りた。
人々は未だ夢から覚めやらず、呆然と立ち尽くしている。
誰かの第一声が放たれる前に、マテオはマリアの元に駆け寄り、強く抱きしめた。
「マリア、会いたかった」
凄絶なアリアを披露した者とは思えないほど微かに震える声で囁く。
マリアはマテオの背に腕を回し口吻た。
大きな拍手が起こる。最高に幸せな夜だった。
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