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─── 「夜は危険だろうか」 引き返すつもりはないが、襲われたときの恐怖が甦る。 「いまさら……カルロが殺されて警察が巡回してるらしい。むしろ今の方が安全かもな」 教会の鐘の音が鳴らされる時刻は大体決まっている。 マリアの家の前で聞いたのは朝。これから待つのは夜の鐘だった。 途切れた道の手がかりとなるか。 鐘が鳴り始めた。マテオは記憶の音と重ね方角を指した。 ガスパロを目として進む。方角は間違いない。 ただし響度では、おおよその位置しか特定できない。 鐘が鳴り止む前に足が迷う。 「住人にマリアという女が住んでいないか聞いてみるか」 とうとうマテオの足が止まるとガスパロが提案した。 マテオは俯いたまま沈黙している。
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