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「君に似合うパルッカ(貴族の被るカツラ)を作りたい。それとドレスも」
「私には似合わないわ」
マテオはマリアを連れ、邸に住まわせた。
髪と瞳の色、好きな花、年齢も生い立ちも、彼女の身体の温かさも全て知り得て幸福だった。
「夢みたいだわ」
「私の方こそ夢のようだ」
「私なんかのどこがいいの?」
「それは千度も言ったはずだよ。お望みならば一万回でも囁こうか?」
「やだ、朝まで眠れないから遠慮しておくわ」
「君こそ私でいいのか? 私は男として……」
「貴方といることが私の幸せ。貴方が望むなら養子を貰えばいい」
肌を重ね他愛ない言葉を交わしているだけで幸せだった。
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