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裏に潜む顔
決行日まで1週間!
秘密の場所。
廃屋のボロ壁に囲まれた人が寄り付かない不気味な場所で、優作とヒロは、二人だけで予行練習を繰り返していた。
「大変だ!大変だ! 起きてよ!起きろ!」
「燃えているよ!燃えている!みんなの家が燃えているよ!」
「火事だ! 火事だ!火事だよ!!」
「優ちゃん、もっと緊迫した声で、もっと大きな声の方が良いよ」
ダメ出しの言葉が出るほど、ヒロは真剣だった。
ヒロは、人気の無い場所だが周囲を確認しながら、持って来ていた紙袋から、妙なモノを取り出して優作に魅せた。
「優ちゃん、これが近だのエイプリル作戦の秘密兵器だよ」
「秘密兵器って? 」
「優ちゃん、徹底的に遣ろう!」
「徹底的って?? 」
私は、話が面白く成って来たのか、泣き声を上げた。
「ニャニー、ニャーニャー?(ヒロちゃん、何を遣ろうとしているの?)」
ヒロが袋から取り出した物は、鏡餅の様な形をした、黒い炭のような土の様な物を固めた物で、真ん中から紐のよう物が垂れ下がっていた。
「何なの? それ? 」
「巨大なヘビ玉だよ」
と、ヒロが答えた。
ヘビ玉とは、40年前とか50年前なら、確実にオモチャ屋さんに売っていた火薬玩具の事だ。
火を点けると、ヘビのような灰がウネリ、辺りに煙を撒き散らす玩具だった。
「数十個のヘビ玉にオガライトの屑を雑ぜて、特殊な液で固めた物だよ」
ヒロは、切ッと締まった真剣な顔で言った。
ヒロは、優作のエイプリル作戦の為に、必死に成って、この巨大ヘビ玉を作り上げていたのだ。
優作は、この時は未だ知らなかったが、ヒロの通信票はオール5だった。
ヒロは、同級生からも先生からも、天才少年と呼ばれていたのだ。
黒い鏡餅型の巨大ヘビ玉の導火線に、火が点けられた。
ヘビ玉は、シュルシュルという轟音と共に、巨大なヘビのような灰が長く飛び出し、黙々と煙を噴き上げ、辺り一面が煙の渦で隠れた。
ヒロは、この巨大ヘビ玉を20個、用意して在ると言った。
優作は唖然とした!
間違いなく、4月1日の早朝、この地域一帯が、パニックの渦に成る!
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