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おじさんと私
古びたサッシ窓から、オレンジ色の光が射しこんでいる、夕暮れ時。
ガランとした部屋に32インチの液晶テレビが陣取り、画面から国会中継の模様が流れている。
テレビ前に、おじさんが胡坐を掻いて座り、その膝上に私がピョコンと座って居る。
貧相で殺風景な部屋で、年寄り一人とオンナの子一匹がテレビを観ている。
画面に国会議員さんの困った顔が大きく映り、口が開いた。
《 ……私は、記憶にございません! 》
《 ……私は、嘘を申しません! 》
テレビを観ていた、おじさんは、怒った顔で呟きました。
「何が記憶にございませんだ! そんな頭の悪い人間が、庶民を代表する議員を、やるんじゃない!」
「何がウソを申しませんだ! それこそウソじゃないか!」
私は、おじさんの顔を見上げながら、大きな泣き声を上げました。
「ニャオゥー!(私も同感です)」
私は、白い毛並みに覆われた、メス猫です。
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