9/13
前へ
/115ページ
次へ
「……綾瀬さん?」 「少し、黙って。今、俺、色々我慢してるから」 そう言った 綾瀬さんは私を 抱きしめる腕に力をギュッと入れた。 「色々?」 「そう、色々」 「でも、苦しいです……」 「うん、我慢して。煽った成美が悪い」 煽ったってなに? でもそんなこと 正直どうでもよくなっていた。 だって 綾瀬さんの話し方が変わって 演じてる彼ではなく素の彼がちゃんと私の前にいるから。 「素の俺は、もう紳士でいられないよ?」 「いいですよ」 「優しい俺ではなく、意地悪な俺かもしれないぞ?」 「クスッ、いいですよ。全部含めた綾瀬さんが好きだから」 どんな 綾瀬さんだって受け入れるよ。 どんな綾瀬さんだって 私が好きな綾瀬さんに変わりはないから…… .
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

377人が本棚に入れています
本棚に追加