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夢現のようであった部屋が、現実に戻る。そうして、瑪且の下腹部の五芒星も赤みが薄れていつもの痣に戻った。ただし、長時間弄られ、色情魔に調教された体は、いまだに快感の余韻でピクピクと震えている。
(…おわっ…た…)
体力も気力も限界の瑪且は、今にも気絶しそうだ。ぐったりとした瑪且の頭を、慈愛に満ちた瞳で葛葉が優しく撫でる。
「後は全部やっておくから、休んでいいよ」
「…、…」
頷きたいが、疲れきった体は動かず、瞬きで答えた。そのまま眠りにつこうとした時、ふと自分の足を掴む手に力が入ったことに気付いた。
そういえば、朱紀が足を掴んだままだったことを思い出して、瑪且が視線を足元に向ける。すると、そこには瑪且の白濁を顔と頭に被って呆然としている朱紀がいた。
(うわ…っ、やば…)
一瞬眠気が吹っ飛ぶ。葛葉も気付いて苦笑し、朱紀に声をかけていた。
「あーあ、すごいことになってるね?」
「……」
「朱紀ー?大丈夫かい?」
葛葉が朱紀に手を伸ばして、鼻先にかかった瑪且の白濁を指先で拭ってやる。指先に付いた白濁は、なんの躊躇もせずに葛葉の口内へ消える。いつものこと過ぎて、瑪且も特に気にしなかった。
「朱紀、いつまでそうしてるんだい?シャワーでも浴びて…」
「……」
「ふっ、なるほど?」
不意に葛葉がくすりと笑った。すると、少しして朱紀の顔が下から真っ赤に染め上がっていく。今にも爆発しそうに顔を歪めて震えているが、立ち上がる気配がない。
不思議そうに瑪且が視線を向けていると、その疑問に答えるように葛葉が朱紀へ声をかけた。
「なんだ。勃っちゃったんだね?」
「っっ」
「仕方ないよ、朱紀。初めて調教を見たんだからね。まおはとても可愛いし。ほら、さっさと処理しておいで?」
「~~ッッ」
アワアワと朱紀がしていると、後ろから龍笛を片手に持った乙人が朱紀の腕を掴むが、それを勢いよく払いのけるのが見えた。
「立てるか?朱紀」
「っっ!!さ、さ、触んじゃねぇっっっ!!俺は勃っ…勃っってなんかねぇからなッッッ!!!くそマゾ瑪且がッッッ!!!」
(くそマゾって。小学生かよ)
おそらく瑪且以外も思ったであろうツッコミを、心の中で入れる。
前屈みになりながらも朱紀が立ち上がって障子戸を力任せにスパンっと開くのが聞こえ、耳に痛い。そして、最後になぜか自分へ暴言を吐き捨ててバタバタと立ち去っていく朱紀の猿の尻のような顔を最後に見て瞼が降り、葛葉の楽しそうにクスクスと笑う声を聞きながら瑪且は眠りについた。
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