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しかし、どうしても言わせたい葛葉の指が、絆創膏の上から乳首を撫でた。
「っっぅ、ぁ…ッ」
「まーお?教えて?」
すっかり開発されたソコは、男性器の先端と同じような快感を拾い、瑪且はビクッビクッと震える。甘い声が漏れぬように口元を咄嗟に押さえた。
仕事中はともかく、素面の時に自分の甘い声を聞くのは耐え難い。
これはさっさと負けた方が良いと、両乳首を引っ掛かれながら指の隙間から喘ぎと共に「んッぁ、す…好きっ、好きで、すっっ」と答えた。
その瞬間、非常に満足そうに葛葉が微笑んだかと思うとゴトンッと何かが落ちる音が、葛葉の背中側から聞こえた。葛葉が後ろを振り返り、瑪且もその視線の先を見る。
開かれた障子戸の先に、朱紀が立っていた。片手には丸い漆塗りのお盆があるが、何も乗っていない。朱紀の足元にペットボトルの水が転がっており、おそらく瑪且用の飲料水として乙人から渡されたものだった。
目頭をピクピクさせ、顔を歪めた朱紀と視線が合う。つくづくタイミングの悪い男だなと瑪且が思っていると、いつもなら罵倒するはずの声もなく朱紀はお盆を床に叩きつけて走り去っていった。
きょとんと瑪且が目を丸くしていると葛葉がクスクス笑う。
「まおは覚えてるか分からないけど、調教の時に勃っちゃってね?後で一人で処理したみたいだよ?」
「…、そう…ですか」
そういえば、気絶するように眠る直前、そんなやり取りがあったなと思い出す。しかし、自分をズリネタに処理をされたのかと思うとすごく気まずい思いになり、できれば聞きたくなかったと瑪且が苦い顔をする。そんな瑪且の胸中を分かっているのかどうか、葛葉はいつもの涼しい顔で起き上がりながら「さ、お腹空いただろう?ご飯を食べに行こう」と手を差しのべた。
その後、居間の透かし彫りの入った天然木材の座卓の前に座り食事をしていると、更に瑪且の顔が苦く歪むことになる。
大型インチのテレビからはニュースが流れていた。
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