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「っィ、ーーっ」
ひくっと喉仏が動く。
しかし、快感からではない。
(いっ…痛っっ)
またも無遠慮に、ぎゅー、ぎゅーと小さな尖りが引っ張られる。時折、引っ張られたまま乳首を捻られ、ワイシャツだけでなく眉間の皺も深くなる。
(こ、の…っ下手くそ!!そんな伸ばしたり、つねったりして気持ち良くなるわけないだろ…っ!作りもんの見すぎだ…っ!自分にもついてるんだから、試してから人にやれよ…っ)
感じないどころか痛みの方が上回り、頭の中で罵詈雑言を並べ立てる。しかし、少しでいいから快楽を拾わなくてはいけない身としては、怒りに支配されてる場合ではなかった。痛いなら尚更、さっさと終わらせたい。
苦行を耐えるかのような顔つきが窓に映り、周りにバレないように猫っ毛の前髪で顔を隠すように下を向く。その間も弄られ続け、生理的反応でぷっくりと乳輪ごと乳首が膨れてシャツを押し上げ始めたところで、不意に先端を指の腹がかすった。
「ぁ、っ」
甘い声音が喉から漏れて、慌てて口許を手で覆う。しかし、ちょうど電車が大きく揺れたところで、その声はかき消されていた。
ほっと息を吐くが、まおのその様子に気づいたのか、先程までひどく雑だった指先が尖りを執拗に撫で続ける。
撫でられる度にゾワッゾワッと背筋が震え、喉が鳴る。耳朶やうなじも赤くなってきた。
まおは「よかった」と思いながらもここからが一番苦しいとこでもあった。
周りにバレないように、でも、確実に快楽を捉えていかないといけない。
漏れそうになる声や派手に反応しそうになる体を必死に抑えながら、明らかに体調が悪そうに見えるまおの姿に周りが気づきそうになった瞬間、ーーーそれは起こった。
男の指が急に動きを止めたかと思うと、痙攣するかのように指が様々な動きをして黒い靄になると、まるで掃除機に吸い込まれるかのようにまおの下腹部に吸収されていった。
ズグンッと下腹部がひどく熱くなる。
ズボンで見えないが、そこでは五芒星が赤く光っているはずだった。その印を押さえるように手を当てる。
ズグンッズグンッと熱くて重い快感が、脈を打つのが分かる。
今日のはやけに活きがいいなと思いながら脊髄を通る甘い快楽に、自分も悠長にしていられないと次の停車駅で降りることにした。
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