1.お仕事紹介します

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 プシューっと気が抜けるような間抜けな音を立てて電車の扉が開いた。後ろの人に押されながらまおも降りるが、快楽で足が覚束ずよろよろとした足取りになってしまい、何度も人にぶつかられる。忙しい人々は他人に無頓着なようだ。  軽く前屈みになりながらもどうにか駅ホームのベンチに座り、はぁと熱い息を溢した。  これであとは電話して迎えにきてもらえば大丈夫だと、鞄の中のスマホを取り出す。しかし、取り出したスマホ画面は真っ暗で、いつの間に電源が落ちたのかとまおは小さく首をかしげた。不思議に思いながら電源ボタンを長押しするが、反応がない。おかしいと思い、何度か同じことをするが、スマホはうんともすんとも反応しなかった。 (う、うそだろ…っっ!?) 赤かった顔が一瞬青くなる。 (あ!落としたから?落とした直後は大丈夫だったのに…っ)  スマホが壊れた理由が思いつき、がっくしと頭を垂らして、文字通り頭を抱えた。 これだと連絡がつかなくて戻ることができない。電車で戻るにも、今のまおの状態では、自分の方が痴漢、変態だと通報されかねない。  なんせ息は上がり、全身をほんのり赤くさせて汗ばみ、ジャケットで隠れているが乳首はシャツを押し上げるように勃起しているのだ。唯一救いなのは、貞操帯により股間の膨らみが分からないだけだ。    現金も持ち合わせていないから、駅から出てタクシーを使うことも難しい。詰んだなとまおは思った。 とは言え、ずっとベンチに座っていても現状は変わらず、むしろ腹の奥で暴れられる度に快楽が増して苦しくなる一方だ。  万が一、ワイセツ罪で捕まったらその時はどうにかしてもらおうと思い、腹を決めて立ち上がろうとしたところ、「あのー…」と恐る恐るといった感じで声をかけられた。  顔を上げると特徴的な帽子を被り、制服を着た駅員の男性であった。調子が悪そうに見えるまおを心配した客が、駅員に声をかけたようだ。ついさっきまで世の中は世知辛いと思っていたが、ここは優しい国だなぁと感動しつつ時にそういう親切によって困ることにもなるんだよなとまおは思った。
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