いつもの三人旅

3/7
前へ
/161ページ
次へ
 「オレオール、あんた召喚聖術が使えるんじゃなかったのか?」  「素人だな。これだから聖術を使えない男は…。」  「おーい、ぶん殴られたいのか~?」  「あれを使うと数日体内のマナが枯渇した状態になるし、事前の儀式に一年の時と準備を要する。 はっきり言って、二度も使えるような聖術ではないのだ。」  「なんだ、聖術も大したことないな。」  「貴様~?」  「俺は事実を言っただけです~。」  「はいはい、落ち着いて二人とも。 それより、任務を優先して。 オレオールもついてきたからには、邪魔になるような事はしないでね。」  「当然だっ、そなたに言われたら余計にしないぞ…っ!」 なぜか赤面しながら言うオレオール。  「ところでラドゥガ村には神秘の森って言われてる森があるが、そこまで惹かれるもんなのかね。光の民、エルフとやらに。」  そう、ラドゥガ村の近くにある神秘の森。 むしろ世間的には村よりも、こちらの方が有名ですらある。 伝承の存在とされた光の民、エルフが住む森として。  「大真面目に聞くけど、エルフって実在してるの…?」 ミーレス的に物凄く気になるところであった。  「僕は本でしか存在を聞いたことがないな。 長命であり美しく、精霊にも等しい存在だと、本には書かれていた。」  「人間にも魔族にも干渉しないし、魔王を倒せる可能性の力を持つにも関わらず、昔からとにかく無干渉で何もしねぇと言われてるな。はっきり言って、俺は好かねぇな。」  ここまで好きじゃないと言うフェンダルは珍しかった。  ラドゥガ村はマーク村ほどではないにせよ、ヌール王国から離れた地にある。 馬車を持ってしても一週間はかかる。 これが徒歩であったらそれ以上、下手したら倍はかかる。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加