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男が振るう刃を難なく避けて、回り込む。
フェンダルは短剣で躊躇いなく首を掻き切っていた。
ギャーギャーと騒ぐ野盗達を、フェンダルは冷めた顔で見ていた。
「クソ!二人もやられた!何なんだよコイツ!」
「相手は一人だ!二人で仕留めるぞ!」
「なんだよ、その勇気を他で活かせないのか?逃げたら、苦しまずに殺してやろうと思ったが。」
「逃げると思うか?高く売るのも良いが、その前にテメェみたいな上物なら、試してみても良いかもしれねぇな?」
「そういって兄貴、さっきの女もそのままやるだけやって、殺しちゃったじゃねぇか!」
「はは!違えねぇ!」
血の匂いから考えるに、直前に何人かを殺し、金品を奪っている。
野盗を生かしてもそれ以上に被害が増えるだけだ。
その目的が生きる為ならまだしも、こいつらの話を聞いていると、そうではない。
余計に生かす理由はない。
向かってくる野盗の一人に短剣が直撃し、首から血を流しながら倒れる。
さらに野盗が向かってくる。
流れるままに長剣を手にし、その心臓を刺し貫いていた。
倒れて動かない野盗達を、フェンダルは見下ろした。
眼帯を外し、普段は隠された左目が露になる。
息を吐いた時だった。
「…フェンダル。」
振り向いた時、馬車から顔を覗かせたのはミーレスだった。
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