君が照らす宇宙

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   ◆  桜の花はすっかり散ってしまった。  咲いていたことをきれいに忘れてしまったように、木には葉が生い茂っている。  ありがたいことに毛虫はいなさそうで、りさとわたしは広場のベンチに並んで座っていた。 「最近、調子よさそうじゃん」  りさの訊きたいことは分かっている。  朔さんについて、だ。 「あの変人とはどうなの?」 「どうもないけど、今度、ライブハウスへ行くことにしたよ」 「はぁ? 大丈夫なの!?」 「待って待って声が大きい」  わたしは手のひらをりさへと向ける。 「偏見だけど、ライブハウスって爆音でしょ? 心配なんだけど」 「トップバッターらしいし、三十分だけだし、耳栓も借りたからきっと平気」 「耳栓なんてしていいの?」 「いいらしいよ。わたしも初めて知ったんだけど」  りさが言いたいことも、分かる。 「……あたしは、あんたが元気だとほっとするけれど、無茶しようとしてると心配なの」 「無茶なんてしてないよ」  わたしは手元のミルクティーへ視線を落とした。 「ようやく、宇宙旅行も悪くないって思えるようになってきたんだ」
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