奇跡の卵

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 オレはそのジイさんがかわいそうだとか、そんな気持ちは微塵(みじん)も起きなかった。  オレが刑務所に入る前には、ジイさんやバアさんを(だま)しては高額の金を巻き上げていたからだ。つまり、高齢者は皆お得意様のようなものだった。  と、その時オレはいつの間にか卵の商品棚に向かっていることに気づいた。  何かの暗示にかかったように、先ほどジイさんが戻した卵のパックを手に取って、自分の買い物かごに入れている  心の中で、 「オレは何をやってんだろう…」 と思ったものの、オレはそのままレジに向かっていた。
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