(一)

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 この前日、拓弥は通っている専門学校の新学期の準備のために学校へ行った。そしてその帰りに藤阪翔太に会いに、彼の通う城山大学へと向かった。  城山大学は、拓弥の通う専門学校と同じ町内にある。電車で二駅の距離だ。駅からは上り坂を上がって一〇分程のところにあった。  門の両端で、大学のフェンスを越えて枝葉を伸ばして花を満開に咲かせている二本の桜があった。その木の下にある校門をくぐったところで、拓弥は翔太に「今着いた」とラインを送った。するとすぐに返信がきた。 「今行くから。ちょっと待っていて」  それを見て拓弥は校門の前で待つことにした。 (続く)
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