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ナポレオン
「ホォーホホホッ、おわかり。鰐口警部補。すべての謎は天才探偵ナポレオンに解かれたがっているのよ」
石動リオは、まるで悪役令嬢みたいな高笑いをしてみせた。
「ぬうゥッ!」
すぐさま鰐口警部補は眉をひそめた。
困惑ぎみだ。
「まだ鰐口さんにはわからないようね。では真相を解説して差し上げましょう」
リオは笑顔を浮かべ上から目線で言った。
「なにィッ真相?」
「ええェ、高遠雅さんの頭をコンクリート片で打ちつけた真犯人は、ご覧なさい。あそこを!」
リオは青く澄んだ上空を指差した。
「なんだとォ?」
怖モテの鰐口警部補がリオが指差した上空を見上げた。
そこには数羽のカラスが空を舞っていた。
「ぬうゥ、まッ、まさかカラス?」
しかし鰐口警部補は素直には納得できないみたいだ。
「そうよ。まさにカラスの勝手なのよ」
「なにィそんなァ、カラスがやったと言うのかァ?」
鰐口警部補は呆れ返った。
『そうです。ああァ見えてカラスは、みなさんが思っている以上に知能が高いんですよ。犬や猫よりも知能が高く、モノ覚えも良いんです。一説には六、七歳児並みの知能だと言われています』
さらにナポレオンも説明を補足した。
「六、七歳児並みだって、そんなに?」
ボクも知らなかった。
『ええェ、おそらく妙齢の女性、高遠雅さんはゴミ出しの際、ゴミを漁りに来たカラスをホウキで追い払うか何かしたんでしょう』
「ううゥむ、それで追い払われたカラスが高遠さんの顔を覚えていたって言うのか?」
鰐口警部補も聞き返した。
『ええッ、カラスはこの路地の屋上にあったコンクリート片をクチバシでくわえて、高遠さんの頭の上へ落としたんですよ』
「ぬうゥ」
鰐口警部補も信じられないという顔だ。
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