カラスなぜ鳴くの

1/1
前へ
/11ページ
次へ

カラスなぜ鳴くの

『カァラァス、なぜ鳴くの♪  カラスの勝手でしょ♪』  突然、ナポレオンはリモート画面の向こうでワケのわからない童謡を歌い始めた。 「なッ、何を歌ってるんだ?」大丈夫なのか。    ボクには意味不明だ。  鰐口警部補もあ然としていた。  おそらくナポレオンが歌ったのは、童謡の『七つの子』の替え唄だ。  ネタ元はドリフターズの志村ケンだろう。  最近、ネットで子供をたちを中心に流行っているらしい。  しかしこの事件にまったく関係ないのではないか。 「おいおい、なんだよ。今度は合唱コンクールの発表会か。邪魔するなら帰ってくれ!」  鰐口警部補は嘲るように苦笑した。 「……」  さすがに石動リオも眉をひそめたままだ。  表情がこわばって硬い。 「チィッ、ガキを信じたオレがバカだったようだな」  容疑者の城ダンも呆れてそっぽを向き舌打ちをした。 「おいおい大丈夫なのか。暑くなりすぎて、どっかの配線でも緩んだんじゃねえェのか」  鰐口警部補も失笑し言いたい放題だ。 「ううゥン、カラスの勝手かァ」  ボクは繰り返し呟き、チラッと現場上空を見上げた。 『カァカァッ』とちょうどカラスがビルの上空を飛んでいた。青空を舞うようだ。 「あッ!」まさか。  ナポレオンはこの事を言ったのだろうか。 「フフッ、なるほどね」  美人刑事、石動(イスルギ)リオもようやく何かに気づいたみたいだ。 「鰐口(ワニ)さん。わかったわ。事件の真相が」  石動(イスルギ)リオは自信満々に微笑んだ。 「なにィ、真相?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加