2.前世

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 ナギのモチベーションがみるみる下がっていることは、周りの料理人にも明らかだったのだろう。次第に挨拶も交わさなくなり、終いには朝来てから帰るまで、誰とも話さない日が続くようになった。代わりに、自分のことを噂するひそひそ声が耳に入るようになった。  これが孤独か、とナギは思った。  ある日、スープの担当を外された。  ナギはそれに対して、悲しくも悔しくもなかった。だって、今自分が作っている料理は、彼に奉げるものではないから。  料理長は自分にクビを言い渡した。  その時、「ああ、陛下に宣告されなくてよかった」と心の底から思ってしまった。焦がれた思いはくすぶって、城を去ってからもずっとナギの奥底で火種を抱えつづけていた。  その恋心はじくじくと痛く、切ないものだった。
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