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「何て読むんだこの名前……?」
横文字のマンション名が門のところに刻まれていたが、オシャレすぎてさっぱり理解できない。
エレクトストームの所属事務所近くに小綺麗な低層マンションがあり、その最上階であるペントハウスが今日のパーティ会場だった。
会場の住所を聞いておいて正解だった。建物名だけではたどり着けなかったに違いない。フロントへ事前に受け取っていた通行証を示し、いそいそと建物内に入る。総戸数は少なそうなのに、立派すぎる設備が備え付けられていた。
神庭の所属するエレクトストームと弟グループがメインで来る、と聞いていたため、規模感としては三十人を想定していた。小規模とはいえ、食べ盛りも多くいる。
つまり。呼ばれているケータリング業者はウチだけではないと思っていた。
が、会場にはどう見ても自分しかいない。
「まさか……」
今回のやり取りもまた紀平に任せきりだったせいで、誰と話を進めていたのかもわからなかった。あたりを見回すも、マネージャーらしき人物さえ見当たらない。
背中に冷や汗をつうっと伝わせていると、神庭が現れた。見知った顔に思わず「あ」と声が出た。
「神庭、さん」
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