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ピタパンを焼くのには早くて一時間、ライスも何種類か準備したいところだ。白、雑穀、玄米。ああ、サラダも欲しいが……仕入れ的に厳しいか。シンプルなマッシュポテトくらいならそろえられるかもしれない。
「えーと、君に頼みたいことがある……」
携帯を肩に挟み、渚は持ってきた資材の前でしゃがみこんだ。使い捨て容器の数や仕込みのメモを確認する。
「追加メニューを頼みたい。あと、紙皿とピックも」
持ち込んでいたクーラーボックスの中を探ると、アルミホイルに包まれた塊があった。手に取るとずっしりとした重みがある。
「そうだ、自家製ベーコンがあった」
『え? ベーコンがどうしたんすか?』
「いや、何でもない。えーと、ベーコン……でピンチョス作るから合わせやすい具材を見繕ってくれないか。あまり予算はかけられないけど、ヤングコーンの缶とか、加熱済のもので頼む」
若い子は肉が好きだろう、ということでスープにもあうベーコンを準備していた。これをスライスして盛り付けるだけで、ちょっとしたおつまみになるだろう。
『うーっす。あ、残業ってことでいいすか』
「ああ、本当にごめんな」
『いっすよ別に。春休みなんで……』
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