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何度も頭を下げながら、自分の至らなさに胃がキリキリと痛んだ。読みが甘かった。神庭のことだから渚以外の業者も呼んでいるだろうという自己卑下的な推算が裏目に出た。
渚がケータリングの量を見誤るのは珍しい。連絡のついたバイト君も「渚さんがいうならこの量かー、って思ってたんすけどやっぱり足りなかったっすか」と当惑していた。
渚の顔を覚えているメンバーが声をかけてきた。スープをこぼしてしまったあの子だった。彼はまだあどけなさの残る後輩と一緒に渚のスープを取りに来た。
「あ、おいしいスープ屋さんの人」
「ありがとうございます。お久しぶりですね」
「今日はなんのメニューがあるの?」
「厚切りベーコンポトフと、和風カレースープ、桜エビとアスパラガスのポタージュです」
身を乗り出して悩む少年たちを見ていると、思わず笑みがこぼれる。やっぱ肉だよなあ、と笑いあう姿がまぶしい。
それと比べて神庭は可愛げがない。渚はすっと顔を陰らせた。
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