3.今世-ずっと好きな人がいる

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 神庭はゲイであることをオープンにしている。好きなタイプは明確だが、詳細なことをいうつもりはない、という一線をひいた、ともあらば冷たく捉えられかねない発言も、ネット上の記事に載っていた。  しかし、ファンは「ギャップ」として恋愛関係にクールな部分をもてはやしているようだった。  実に面白くない。  ゲイのアイドルは推しやすいのだろうか。胸をキュンキュンさせながらも、本当の好意が自分含めたファンの女側に向くことはないという安心感が、手放しでかっこいいーと黄色い声を投げかけられる要因になるのだろうか。  あけすけな神庭のセクシュアリティに関して、渚はいい気分がしなかった。 「ねえ、お兄さん」 「……僕?」  幼さの残る顔立ちの子が渚を呼んでいた。彼もきっとアイドルなのだろう、人の目を自然と引きつける子だ。 「神庭さんと仲いいの?」 「はい? 全然。そういうのではないです。そもそも、前回お会いしたのが初対面ですし――」
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