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「仕事が立て込んでてな」
「もったいない……。全然召し上がられてないですよね?」
神庭は中抜けしたせいで、持ってきたスープや追加メニューが食べ尽くされたタイミングしか見ていない。
「追加メニュー、出来立てはホカホカでしたのに」
「……あ、ああ。でも、俺が食べたときでもとびきり旨かったぞ」
口元に手をやりながら神庭は言った。
「また頼む。今度は出来立てに間に合うよう努力する」
こんど、の三文字に胸が大きく弾んだ。
「そ、それじゃあ、本日は様々なものを用意させていただきましたが、皆様はどのお料理が好きとおっしゃられていましたか?」
「……目の前にいる俺の好みじゃなくて?」
「じゃあお聞きします、神庭さんは何が一番好きでしたか?」
「ポトフ」
嘘だあ。神庭がいいといったポトフは、以前のケータリングで『女子受けしそう』とか小馬鹿にしてきたメニューと同じものだ。神庭は小首をかしげて付け加える。
「あと、ベーコンとヤングコーンのピンチョスかな」
渚がとっさの機転を利かせてで出したおつまみだ。ベーコンにミニトマトやヤングコーン、じゃがいもを軽くバーナーであぶって並べた。
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