3.今世-ずっと好きな人がいる

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「仕事が立て込んでてな」 「もったいない……。全然召し上がられてないですよね?」  神庭は中抜けしたせいで、持ってきたスープや追加メニューが食べ尽くされたタイミングしか見ていない。 「追加メニュー、出来立てはホカホカでしたのに」 「……あ、ああ。でも、俺が食べたときでもとびきり旨かったぞ」  口元に手をやりながら神庭は言った。 「また頼む。今度は出来立てに間に合うよう努力する」  こんど、の三文字に胸が大きく弾んだ。 「そ、それじゃあ、本日は様々なものを用意させていただきましたが、皆様はどのお料理が好きとおっしゃられていましたか?」 「……目の前にいる俺の好みじゃなくて?」 「じゃあお聞きします、神庭さんは何が一番好きでしたか?」 「ポトフ」  嘘だあ。神庭がいいといったポトフは、以前のケータリングで『女子受けしそう』とか小馬鹿にしてきたメニューと同じものだ。神庭は小首をかしげて付け加える。 「あと、ベーコンとヤングコーンのピンチョスかな」  渚がとっさの機転を利かせてで出したおつまみだ。ベーコンにミニトマトやヤングコーン、じゃがいもを軽くバーナーであぶって並べた。
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