6.今世-天文台

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「普段聞き手に回るリーダーがあれこれ聞いてくるもんだからびっくりしましたよ」 「神庭さんってどんなアイドルに見えますか?」 「僕から見て?」 「はい、もちろん」  本当のこと言っていいのかな。少しだけ考えた後、うそをついても仕方ないと開き直った。 「……ちょっと、怖い?」  メンバーは驚いていた。そして納得したように頷く。 「ふーん」 「えっ、何ですかその反応」 「や、木住さんって神庭にすごく懐かれているなーって思ってたから――。じゃなくて、俺が聞きたいのは神庭に勝つ方法でした」 「勝つ?」  彼は身を乗り出し、渚の両手を握った。 「どんな仕草にキュンってしますか?」 「……僕?」  男に聞いてどうすんだよ。 「自分、老若男女からキュンってされたいんですよ。神庭さん一強時代を終わらせてみせます」  キュン、ってなんだよ。今までのそういう体験を思い出そうと瞼を閉じた瞬間、目の前が白く光った。 ――いいよ、俺が行く。  脳裏に見知らぬ光景がよぎった。慌てて目を開けると、彼が今か今かと渚を見つめていた。 「なんかあります??」 「……なんだろう。あんまり考えたこと、ない」
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