6.今世-天文台

12/12
前へ
/76ページ
次へ
 すっくと立ちあがった神庭が手を伸ばす。しかし、その手を握るのをためらった。 「距離を置くんじゃないんですか?」  神庭はしまったという顔を浮かべる。もしもここで手と手が触れ合ったら、渚の中の〝好き〟が溢れてしまいそうだった。 「別にこれくらいいいだろ――」 「だめです」  キっと神庭を見上げた。 「好きになっちゃうから」  神庭の目が丸くなる。その反応を見て、失言に気が付いたが後の祭りであった。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加