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「どうやって渚に付け入ったのかと思ってね。聞いておきたかったんだよ」
「……っ」
「渚、前に言ってただろう。神庭は渚のスープを初対面で侮辱してきたって。じゃあ〝大して旨くもないスープ〟をどうして何度も呼んだのか気になってさ」
手元に視線を落とした。胸がもやもやする。本当に酷いのは、一体どちらなのだろうか。
神庭は不器用なだけで、基本は優しいということは話していくうちにわかってきた。メンバーからも愛されていて、年長者として外部へきつく当たる役目を負わされていることもあるのだろう。
何も言い返さない渚を見て、紀平は背中に手を添えてきた。
「あいつ出禁にしとく?」
首を横に振る。
「いやだって……。お前、嫌がってただろう」
そうだけど、違う……。渚は紀平にどう説明していいか分からず唇を噛んだ。
「黙られちゃ分かんないよ」
紀平は苛立たしげに舌打ちをした。彼が感情を激しくあらわにするのは長い付き合いの中で初めてだった。
「いいよ。俺のせいってことでいいから、神庭は出禁にする」
「……あ、違」
「バイトからも聞いた。神庭は何かと理由をつけて渚に無理難題を押し付けてたって」
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