言の葉に月の光

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 自分の魅力を彼女は問いかけた。魅力というほどには教養を高めていない。しかし内面から磨きたいという願いは、自らを高みにいざなってくれそうである。  自宅に帰った彼女は父親に、大学の図書館で授業のあと二時間ほど勉強してきたいと申し出た。女子大学に通っているので父親は快く許可した。  翌日、彼女は大学の図書館で空席を探している。四人掛けのテーブルの中で一人本を読んでいるテーブルがあり、斜め向かいに彼女は着席した。  熱心に本を読む二人は時折り眼が合うと微笑みあった。彼女が大学の図書館を所望したのは、このためである。自宅の蔵書は膨大だが、学習している姿を見られるのは大学の図書館が一番である。  二時間との約束なので彼女は会釈して席を立った。新たな楽しみができた。
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