言の葉に月の光

　以来、その四人掛けのテーブル席は、ふたりの指定席になった。
　彼女は大学一年生で、相席の女性は大学三年生である。
　先輩の女性の所作は洗練されていて、彼女も感化されていく。

　先輩は卒業前に見合いをし、卒業後に結婚することになった。
　結婚相手は何と彼女の兄である。
　彼女の母は微笑みながら、自分も大学の図書館の縁で嫁いだのだと説明した。
　どうやら大学創設以来、あのテーブルは縁結びのテーブルなのらしい。

　先輩は卒業に際して、図書館の席を引き継いでもらいたいと言った。
　彼女は快諾した。

　先輩は卒業後、彼女の兄と結婚し、新妻として一家の一員となった。

　夏になり、一家総出で別荘に避暑に来ている。
　新妻と彼女は夜空を眺めている。
　月がささやく。

　ますます魅力を発揮しなさい