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後編
私は歌った。心の限りを込めて歌った。昨日、タイチさんの訃報を聞いて急遽作った鎮魂歌を。
『いつか、ミラが作った曲をMe-Minesで歌えると良いな』
私が作詞作曲しているのを、タイチさんには伝えていた。聞いてもらう事は出来なかったけど、今、あなたのためだけに私は歌います。私の心の全てを込めて。
──ありがとう、タイチさん……。
私が歌い終わると、自然と拍手が巻き起こった。お母様は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「ありがとう。太一のために。ありがとう……」
*
**
***
私がこの時作った鎮魂歌は、後日チューチューブで配信されてとても話題になった。それから私にはソロでこの歌を歌う営業に声が掛かるようになった。
あれから十五年。
私はシンガーソングライターの魅良として音楽業界の第一線で活躍をしている。
あの時、心の思うままにこの曲を作ってから、私の運命の歯車は回転を始めたの。タイチさんのために心で歌ってから、人生が大きく変わって来たの。
タイチさん、私を推してくれてありがとう。命を落とすまで私のために必死になってくれてありがとう。
私はいつも心にあなたの事を抱えて、これからも歌います。
だからどうか、天国で私の歌を聞いていて下さい──。
────了
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